地代には、原則消費税はかかりません。なぜなら、法律上の土地の貸し借りは消費ではなく、資産の移動と解釈されるからです。しかし、土地の貸し借り全てが非課税ではなく、例外もあるため注意が必要です。本記事では、地代に消費税がかかるケースとかからないケースなどを解説します。
地代に消費税がかかるケース
原則的には地代に消費税はかかりません。ただし、消費税法施行令第8条*¹で例外の規定が設けられており、該当する場合は消費税がかかります。条文によると「土地の貸付けが一か月未満」「駐車場その他の施設の利用」に該当する場合です。以下で詳しく解説します。
*¹参考:消費税法施行令|e-Gov法令検索
賃貸期間が1か月未満の場合
賃貸期間が1か月未満の場合、消費税がかかります。土地を貸すのではなく「物を保管するためのサービス提供」と法律で解釈されているからです。
注意点として、契約書の賃貸期間が1か月未満かで判断され、実際の賃貸期間は関係ありません。例えば、実際の賃貸期間が1か月以上でも、契約書の賃貸期間が1か月未満であれば一時的な利用とみなされ、課税の対象となります。
土地を駐車場として利用する場合
土地を駐車場目的で利用する場合も、消費税がかかります。しかし青空駐車場のような未整備の土地であれば、消費税はかかりません。貸主はただ土地を貸しただけであり、法律上は駐車場として認識されないからです。
しかし貸主が土地を舗装したり、フェンスを設置したりした場合は、土地のみの貸付けとみなされず、消費税がかかります。借主が勝手に整備する分には、消費税の心配はありません。
土地を事業用として利用する場合
土地を事業用目的で利用する場合、消費税がかかります。例えば事務所や野球場、プールやテニスコートなどです。また、貸主が土地とその上にある事業用建物を貸す場合、建物にも消費税がかかります。事業用建物とは、賃貸オフィスやテナントなど、事業が目的の建物です。住居と兼用している場合は、事業用部分のみ課税されます。
事業用で土地を借りる際の権利金や保証金などは課税対象か?
消費税の課税対象は、土地の対価になるかどうかで決まります。
敷金や保証金は貸主への預かり金の性質を持ち、あとで返還されるため非課税です。ただし、返還されない場合は土地を借りた際の対価となり、事業用の場合は課税されます。
さらに、権利金や更新料も土地を借りた際の対価となるため課税されます。同様に、手付金や仲介手数料、地代も消費税の課税対象です。
以上のように、返還される場合は非課税ですが、返還されない場合は課税されます。
地代相場の計算方法は5種類
普通借地権の地代相場は土地価格の1%未満であり、定期借地権の地代相場は、土地価格の4%~5%です。地代相場の主な計算方法は以下の5つあり、一つまたは複数の手法を用いて算出します。
公租公課法
固定資産税と都市計画税の合計に、相場の倍率を掛けて算出する方法です。誰でも簡単に計算できます。相場の倍率は、住宅地の場合は3〜5倍、商業地の場合は5〜8倍になります。
計算式
借地料=(固定資産税+都市計画税)×5~8倍(商業地)
(例)商業地の場合で固定資産税と都市計画税の合計が60万円の場合
60万円×5〜8倍=300〜480万円 (年間借地料の相場)
>路線価法
路線価から更地価格を求め、相場の倍率(1.5~3%)を掛けて算出する方法です。路線価とは、主要な道路に面している土地1平方メートルあたりの価格が記されている資料です。
国税庁の路線価図をもとに算出するため、信頼度が高い手法といえるでしょう。更地価格は、路線価を0.8で割ることで求められます。
計算式
借地料=(路線価 ÷ 0.8 × 1.5〜3%)× 土地面積
(例)路線価120万円、土地面積100平方メートルの場合
(120万円÷0.8×1.5~3%)×100平方メートル=225〜450万円 (年間借地料の相場)
積算法
土地を活用して得られた年間の利益率に、固定資産税と都市計画税を合計して算出する方法です。土地の収益性を反映した借地料を算出できます。ただし、利回りが不明の場合は使用できません。
計算式
借地料 =(更地の土地価格 × 利回り)+ (固定資産税 + 都市計画税)
(例)更地の土地価格6,000万円、利回り2%、固定資産税と都市計画税が50万円の場合
6,000万円×2%+50万円=170万円 (年間借地料の相場)
賃貸事例比較法
周辺にある土地の借地料を参考に算出する方法です。実際の相場をもとに地代を決めるやり方で、貸主と借主の両方とも納得の行く形で借地料を決めやすい特徴があります。
しかし、不整形地など特殊な場合は、条件が似ている土地を探すのは難しく、この方法は適していません。実際の相場を知るためには、専門家に依頼する必要があります。
計算式
借地料=1平方メートル当たりの平均借地料×土地面積
(例)一平方メートル当たりの平均借地料が2万円、土地面積が100平方メートルの場合
2万円×100平方メートル=200万円(年間借地料の相場)
収益分析法
土地を活用して得た収益から、借地料を計算する方法です。事業用で土地を借りる際に使われます。収益が見込める場合は地代を高く設定し、収益が見込めない場合は地代を低く設定します。不動産が企業の収益にどれだけ貢献しているかを算出するのは難しいため、あまり使われていない手法です。
まとめ
地代に消費税がかかるかどうかはケースバイケースです。基本的には土地の譲渡や貸し借りは非課税取引のため、消費税はかかりません。しかし、賃貸期間が1ヵ月未満の場合や土地を駐車場、または事業用で使う際は例外に該当し、消費税がかかるため注意しましょう。
また、事業用の土地を借りる際に発生する経費(権利金や保証金、更新料など)は、返還されるものは非課税で、返還されないものは課税対象です。
消費税は広く公平に課税される税であり、社会保障に充てられる大事な税金です。課税対象かを確認し、忘れずに納税しましょう。
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