倉庫を建てる土地は事業用地!探すためのポイントや必要書類について解説

貸倉庫を新たに建てるときに必要となるのは「事業用地」です。事業用地は商用利用できる土地で、倉庫のほかにも事務所や関連施設を建てるときにも事業用地の用意は必須です。

事業用地には用途地域や区分があり、求める条件によって選び方はさまざまです。なかには制限がかかっていて、倉庫を建てられない土地もあります。そのため事業用地選びは重要であると言えます。

この記事では事業用地の区分や、探すポイントについて解説します。貸倉庫を建てたい方は参考にしてみてください。

事業用地とは

事業に利用できる土地を事業用地と呼びます。住宅を建てるための用途とは異なる土地です。貸倉庫業を行う際、一から倉庫を建てるケースでは、土地の準備が必須となります。

では、事業用地と住宅用地を分ける違いや、定義とはどのようなものでしょうか。ここでは事業用地の定義と、住宅用地との違いについて解説します。

事業用地の定義

事業用地の定義は「収益を得る目的で所有される土地」です。工場・配送センター・オフィスなどを建てることができます。

住宅用地との違い

住宅用地は住居を建てるための土地であり、収益を得る目的では利用できません。事業用地は基本的に住居を建てるための土地ではないため、住宅用地とは利用目的が違います。

また、住宅用地は既に住居が建てられている土地を指します。住居が建てられていない、または建設途中の土地は住宅用地には当てはまりません。

用途地域と区分

用途地域は、土地の用途が明確に判別できるように区分された地域地区の1つです。都市計画法で制定されており、13種類に分けられています。建てられる建物や大きさが地域ごとに制限されているため、倉庫を建てられるのは主に準工業地域・工業地域・工業専用地域の3つです。

準工業地域

昔からある職人街や町工場などを想定し、中小企業の振興を目的として制定された地域です。工場のほかにマンションや飲食店、オフィスビルなどが建ち並ぶ、一般的な街となります。工場で働く人が便利に住むための町というイメージになるでしょう。

工場の建設もでき、環境が悪化する可能性が高い工場以外はほぼ建てられます。火薬や石油を貯蔵する施設も建設可能なため、倉庫の建設も問題ありません。ただし、危険物の処理量が多い倉庫の建設は不可能です。

工業地域

工業地域は工場と工場で働く人のために考えられた地域です。住宅は建てられるものの、学校や病院、映画館などの施設は制限され建てられません。基本的に工場を建てるための地域であるため、住宅の建設を優先させる土地ではない点がポイントです。

環境を悪化させる可能性のある工場や、危険物の貯蔵が認められており、倉庫の建設も可能です。危険物の処理量が多い倉庫も建設できるため、準工業地域に建てられない倉庫も、工業地域では建てられる可能性があります。

工業専用地域

工業専用地域は、工業を主軸とした専用の地域です。そのため、住宅は建てられません。店舗や図書館なども建設不可となっています。ただし、工場に関連する事務所、保育所などは建設できます。工業地域と同じく、危険物の処理量が多い施設も建設できるため、倉庫に適した地域と言えるでしょう。

事業用地を探すポイント

事業用地は決して安い買い物ではないため、事前のチェックは欠かせません。日照の問題や人通り、周辺住民とのトラブルがないかなど、調べる事柄は多くあります。特に、隣の建物との距離や越境物などは注意しておきましょう。いずれも現地に赴き直接確認してわかる場合がほとんどです。

立地条件

立地条件は非常に重要です。貸倉庫を建設するならば、借りたい人が借りやすく、さまざまな人が立ち寄りやすい立地にしましょう。大きめの車が入りやすい立地である・バス停や高速道路が近くにあり車や公共交通機関を利用しやすい場所であるなどの条件をクリアしている場所がおすすめです。

インフラの状況

水道・ガス・電気といったインフラが整備されているかを確認しておきましょう。住居として使用しないからインフラはなくても構わない、と考える人もいるかもしれません。

しかし、手洗いに水が必要になるのはもちろん、空調にガスを利用するケースも有りえます。また夜になれば明かりとして電気は必須であるため、インフラが整備されていた方が便利です。ただしインフラを一から整備しなおすと、その分資金が必要になります。

土地の状況

土地の広さのほかに、地盤の強さもチェックする必要があります。特に大きな倉庫を建てる場合は、地盤の強さや地中埋設物の有無を調べなければなりません。

地盤が弱く、大きな倉庫が建てられなければ、地盤改良をする必要性が出てきます。地盤改良をするとお金がかかるため、元から地盤が強い土地を選んで、資金がかからないようにしましょう。

購入にかかる予算

土地を購入するだけでなく、建物を建設するための費用、仲介業者に支払う手数料などにもお金はかかります。また既に建物があり、それを解体して新たに倉庫を立て直す場合は、解体費用がかかります。

インフラの整備や土地の地盤強化を行うときは、さらに資金がかかるため、なるべく予算を抑えられるような土地を買い求めましょう。

事業用地購入に必要な書類

倉庫を建てるため土地の購入を決め、欲しい事業用地が見つかったら、購入に動きましょう。土地を購入するときは契約が必要となり、書類の作成が必須です。ここでは主要な書類を3つ紹介します。

買付証明書

土地の購入を決めたとき、買主は「買付証明書」という書類を作成し、売主や仲介業者に提出します。買付申込書や買受証明書とも呼ばれますが、いずれも同じ書類です。

買付証明書は法的効力を持たないため、提出後に購入をキャンセルしても問題なく、手付金も必要ありません。

買付証明書は、法的効力がないものの、土地購入時に提出されることが一般的です。書式は特に定められていませんが、仲介業者が用意している場合もあり、その場合は渡された書類に記入して提出するのが一般的です。

不動産売買契約書

不動産売買契約書は、不動産の売買を行う際に必要となる書類です。この契約書には、土地の代金・住所・売主と買主の個人情報などが記載されています。引き渡しの時期も書かれているため、よく確認しておきましょう。

契約書作成後、金額や日付など、細かい数字に間違いや漏れがないかを確認することが重要です。間違った契約書はトラブルの原因となるため、十分に注意しましょう。

重要事項説明書

重要事項説明書は、土地の購入に関して、最終的な売買の意思を確認するための書類です。土地取引は複雑であり、確認する項目も多いため、一般的に難しい問題と言えます。

重要事項説明書は、複雑な問題を説明し、トラブルが起きないように作成されます。重要事項説明書を渡されたら、よく目を通して確認しましょう。取引される土地や条件に関する事柄から、金銭に関わるもの、契約の解除における約束事などが記載されています。

まとめ


貸倉庫業のために倉庫を建てる場合は、土地から準備しなければなりません。制限がなく、余計な費用がかからない便利な場所を探し、候補が見つかったら現地へ赴いてチェックしましょう。

購入を決意したら、費用の計算と書類の作成をします。書類はよく確認をして、トラブルがないように気を付けます。最後に所有権の移転登記を行えば、手続きは終了です。




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