貸し倉庫探しに苦労していませんか。近年は、製造業や小売業を中心に業務用の貸し倉庫に所有物を保管する企業が増えています。しかし、事業や会社の規模にあった最適な貸し倉庫を見つけようとするほど、条件が狭まり、貸し倉庫探しは難航するでしょう。貸し倉庫には効率よく探す方法があり、選定にあたっていくつかポイントがあります。
本記事では、貸し倉庫の概要と探し方や選ぶ際のポイントだけでなく、契約時に確認すべきことについて解説しています。
貸し倉庫とは
貸し倉庫とは、事業者や個人向けに貸し出されている、荷物を預けるための場所です。一般的な不動産と同様に賃貸借契約等を結ぶことで借りられます。まず、貸し倉庫にはどのような種類があるのか、また、どういった利用目的で貸し倉庫を借りられるのかをみてみましょう。
貸し倉庫の種類
貸し倉庫には、大きく倉庫業法規定の「トランクルーム」と不動産賃貸契約に基づく「貸し倉庫」の2つがあります。
トランクルームに物品を預ける場合は寄託契約となり、トランクルームを運営する運営会社が保管をします。運営会社に保全義務があるため、物品の搬入出は運営会社立会いのもと、利用者もしくは運営会社が行います。火災保険や損壊・盗難対策の保険をつけることが可能です。保管場所のスペースも限られるため、法人だけでなく、個人が利用するケースも多くなっています。
一方、不動産賃貸契約に基づく「貸し倉庫」では、貸主側に保全義務は生じません。荷物の保管に関する責任は基本的に倉庫を借りた借主側にあります。トランクルームと異なり、物品の出し入れが利用者自ら行うため、好きなときに搬入出が可能です。倉庫の規模も大きくなるため、事業用途での利用が大半で、法人の契約者が多くなります。
貸し倉庫の用途
個人向けのトランクルームは、大型のクローゼットとしての利用や家財道具の一時的な保管場所、テレワークの環境整備などにも使われます。家に置くとなると場所を取りがちなレジャー用品やアウトドア用品、防災グッズや緊急時用備蓄などの保管場所としても有効活用できるでしょう。
最近は広めの家や部屋を借りず、料金の調整ができるトランクルームを借りる人が増えています。また、引越しやリフォームの際に家具の一時的な保管場所として借りる方もいます。大切な趣味の品々やコレクションの保管も利用方法の一つです。
法人のトランクルーム・貸し倉庫の利用目的はその事業や会社の規模によって様々です。オフィス内の物品の整理にトランクルームを活用するケースもあります。例えば、特定の日にしか使わないイベント用品などは、レンタルルームに保管しやすいでしょう。一方、賃貸契約を結ぶ貸し倉庫の場合は、大型の荷物の保管に使われます。商品の保管や物流拠点の設置を目的に借りるケースが多いでしょう。
貸し倉庫のメリット・デメリット
貸し倉庫は利用にあたって自由度が高いものの、荷物は自分で管理しなければならないといったメリット・デメリットがあります。ここからは貸し倉庫のメリット・デメリットについて解説します。
貸し倉庫のメリット
貸し倉庫は屋外の大型施設が多いため、家具や家電、バイク、車などサイズの大きなものでも収納できます。賃貸物件と同様に基本的に出入り自由で、営業時間を気にせず利用可能です。賃貸物件であれば家賃は月単位でかかりますが、貸し倉庫であれば最短1日からレンタルできる場合があります。
貸し倉庫のデメリット
収納環境が悪い貸し倉庫もあり、空調設備などが整備されていない場合があります。商品にカビが生えたり、傷んだりすることが考えられるため、保管環境は事前に調べなくてはなりません。
またセキュリティ対策が不十分な貸し倉庫もあるため、盗難に備える必要があります。セキュリティ面に不安があれば、自費で防犯対策をしなければなりません。
貸し倉庫を探す方法
貸し倉庫と言っても大きさや価格帯まで、さまざまなものがあります。一番手軽なのは、知り合いを頼って探す方法ですが、法人用の貸し倉庫の物件数が限られます。知人のネットワークでは、物件数が集まりづらいでしょう。ここからは、貸し倉庫探しの2つの方法について紹介します。
インターネットで探す
貸し倉庫の立地と条件を特定できていれば、インターネットを使って自ら物件を探せます。貸し倉庫は住宅と違って物件数が少ないため、自分の足やツテで物件を見つけるのは現実的ではありません。
貸し倉庫に絞って、物件を探す場合は、貸し倉庫を専門で取り扱う不動産サイトの活用がおすすめです。エルネット(https://log-n.net/)は事業用物件の専門サイトです。関東を中心とした豊富な貸し倉庫情報の中から、自分の希望に合う物件をまとめて検索できます。
また「貸し倉庫の立地」「倉庫に必要な付帯設備」「面積やレイアウト」「予算」などの条件が決まっていると、より検索しやすくなるでしょう。
事業用の場合、立地を考える際には、取引先への商品の配送と従業員の通勤の両方の利便性を考慮する必要があります。業種によっては、空調や冷凍設備の設置が必要になるかもしれません。
ほかにも必要な面積についても考えておきましょう。予算を考える際は、初期費用だけでなく、ランニングコストも含めた合計金額を見積もってください。
不動産屋に相談する
不動産屋の中には、貸し倉庫も豊富に扱う業者も存在します。
地域によっても貸し倉庫の物件取扱数の数は変動します。地域ごとの傾向をおさえるために、まずインターネットで概況をおさえることも有効でしょう。
不動産屋の活用のメリットとして、「不動産サイトには掲載されていない物件」が挙げられます。
- 売り出していることを知られたくない
- 費用対効果を勘案して、公開範囲を限定している
- 法令等により、まだ公開できない
理由は上記のように様々ですが、不動産サイトには掲載されない物件情報を不動産屋がおさえている場合があります。インターネットで希望の物件が見つからない場合でもあきらめずに相談してみましょう。
なおエルネット(https://log-n.net/)でも、お客さまの希望条件に合わせて物件を紹介する「物件リクエスト」を受け付けております。
物流会社や取引先に聞く
信頼関係が構築できている物流会社や取引先であれば、自社の業務内容を理解しているため、事業内容に合った条件の貸し倉庫の情報を提供してくれるかもしれません。
ただし、物流会社や取引先は不動産会社でないため、詳細な物件情報を有しているとは言えません。その会社に関連している情報しか得られないため、詳しい情報を得るには自ら調査する必要があります。
現地に足を運ぶ
現地に足を運ぶと立地や地域の競合の調査ができ、事業内容に合う倉庫であるかの判断ができます。ただし貸し倉庫は物件数が限られており、管理会社の募集看板に出ている物件で、条件に該当する物件に出合うケースは稀でしょう。
貸し倉庫探しのポイント
貸し倉庫を探すにあたって、どのような点に注意して探せば良いのでしょうか。ここからは、貸し倉庫を探すポイントを6つ紹介します。
利用目的を明確にする
利用目的によって、天井の高さ・電気の容量などの条件が異なります。倉庫に預ける物品・使用用途を整理することで、必要な収納スペースや設備環境が見えてきます。
なお貸し倉庫は、店舗や事務所の住所として使用する目的では認可されない場合もあるため、利用規約を確認しましょう。
立地を調べる
事業でトラックなどの大型車両を使用する場合、規模の大きい倉庫を借りる必要があります。十分な駐車スペースを確保し、周辺道路が整備されているか確認しましょう。道路状況が悪いと、商品の入出庫に支障が出て、到着が遅れる恐れがあります。
住宅街に倉庫がある場合、荷物の入出庫の時間によっては近隣住民から苦情が来ることも考えられるため、トラブルを避けるためにも立地をしっかり調べましょう。
コストを確認する
貸し倉庫には初期費用や月額料金がかかります。敷金や礼金が必要な場合もあるので、あらかじめ確認しましょう。また、電気代や水道光熱費などのランニングコストもかかるため、事前にシミュレーションし、費用対効果に見合う倉庫を選ぶことも重要です。
長期で倉庫を借りる場合、契約の更新料や解除料、設備保守点検費用、火災・損害保険料なども確認する必要があります。
内覧する
写真や間取り図だけでは、倉庫内の設備・環境などがわからない部分が多いため、実際に目で確認し、物件の良し悪しを判断しましょう。内覧することで、倉庫の使用方法について具体的なイメージができます。
また、倉庫の非常口や動線を理解しておくことで、有毒ガスが発生した際の避難がスムーズになります。
気になった倉庫は即問い合わせる
理想的な物件を見つけるには、時間と労力がかかります。気になる物件を見つけたら、早めに問い合わせることが重要です。
問い合わせの際、公開情報に載っていない情報を聞いておくと、他の物件と比較しやすくなります。条件の良い倉庫はすぐに予約が埋まるため、気になる物件を見つけたら、すぐにアクションを起こしましょう。
信頼できる貸し主を選ぶ
信頼できる貸し主であれば、倉庫に問題が生じた際、迅速に対応をしてくれます。倉庫を借りる際は、貸し主の会社概要や事業内容、実績などを確認しましょう。借りたい倉庫があるエリアに詳しくない貸し主の場合、倉庫の情報に信頼がおけない可能性があります。
貸し倉庫の契約時に確認すること
貸し倉庫は契約の際に契約書を確認しておかなければ、トラブルに発生する可能性があります。ここからは貸し倉庫の契約で確認すべき点について解説します。
契約期間
貸し倉庫の契約は、居住用や事務所と同じように賃貸借契約を行います。一般的に貸し倉庫の契約期間は2年から3年です。契約の種類は「定期借家契約」と「普通借家契約」があり、それぞれ更新の規約が異なります。
定期借家契約は期間満了後に原則更新されません。一方、普通借家契約は契約期間が過ぎると自動的に更新されます。
解約予告期間
貸し倉庫は原則として、借主側のタイミングで自由に解約できません。契約書の内容に従った解約予告期間を経て、解約する必要があります。
解約違約金
契約期間を満了せずに退去する場合、解約違約金が発生する場合があります。
「3年以内に借主の都合で解約した場合は賃料の1ヶ月分の違約金を支払う」「途中解約の場合、残りの期間の賃料を支払う」などの規定が賃貸借契約書に記載されていることがあります。
賃貸物件の違約金については契約時に説明が義務付けられていますが、口頭での説明だけでなく、賃貸借契約書の内容も必ず確認しましょう。
なお賃貸借契約書に短期解約違約金が設定されていない場合は、違約金は発生しません。
まとめ
貸し倉庫などの事業用不動産は、居住用の不動産と異なり、物件の総数が限定的です。希望条件が細かくなるほど、理想的な物件に出会いづらくなるでしょう。貸し倉庫探しに苦労している場合は、事業用専門の不動産サイトをご活用ください。希望の条件に合わせて物件を検索することが可能です。エルネットでも事業用の貸し倉庫、貸し工場を多く取り扱っております。
また目ぼしい物件があったらすぐに連絡して詳細を確認することも大切です。この記事で紹介したポイントを参考に、自分に合った貸し倉庫を見つけてください。
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