マイナス18度以下の温度を保ったうえで、荷物を保管できる冷凍倉庫には、耐用年数があります。この記事では冷凍倉庫の法定年数や減価償却と、借りる際のメリット・デメリット、倉庫の選び方などを紹介します。
冷凍倉庫の耐用年数とは
冷凍倉庫の法定耐用年数は、12年~24年と定められています。一般的な倉庫の法定耐用年数は15年〜38年であるため、冷凍倉庫の年数の方が短く定められていることがわかります。ここでは冷凍倉庫の耐用年数や、償却年数について解説します。
法定耐用年数
固定資産が正しく使用された場合、耐えうる期間を耐用年数といいます。耐用年数は、固定資産の資産価値を表し、減価償却の対象となる期間です。
法定耐用年数を超過しても、資産としての価値はなくなりますが、減価償却の対象外となるだけです。使用自体に問題がなければ、使い続けられます。
似た言葉として耐久年数があります。耐久年数は、メーカーの研究や実験をもとに、問題なく使用できると判断された期間です。耐久年数は法律で定められておらず、あくまで機能上の目安です。そのため、用途や運用方法によって、年数が前後することがあります。
償却年数
資産は、経年劣化などの影響で価値が下がります。そこで、資産の価値を耐用年数に分けて、毎年費用として計上するのが「減価償却」です。
減価償却の対象となる資産には、建物や機械などがあります。償却年数の計算方法は、法定耐用年数を超えて使用しているか否かによって異なります。
・法定耐用年数を超えて使用している場合
法定耐用年数×0.2=償却年数
・法定耐用年数の範囲内で使用している場合
(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×2
償却期間が長いほど減価償却費は少なくなりますが、反対に借り入れはしやすくなる点がポイントです。
減価償却と固定資産税
不動産だけではなく減価償却される資産にも、固定資産税がかかります。
償却資産にかかる固定資産税は1.4%で、「償却資産の評価額」に1.4%をかけた額が固定資産税となります。
「償却資産の評価額」は、その資産をいつ取得したかによって計算方法が異なります。
・事業年度中に取得
取得価額×{1-(減価率÷2)}
・前年より前に取得
前期の評価額×(1-減価率)
原価率は耐用年数によって変化し、年数が増えるごとに下がっていきます。この原価率は国が定めた基準に応じて決定されます。
冷凍倉庫のメリット・デメリット
冷凍倉庫は、常温の倉庫と比べると価格が高くなりがちです。しかし冷凍が必須である大量の商品や荷物などを保管しておくために、冷凍倉庫は欠かせない存在です。ここでは冷凍倉庫のメリットやデメリットを解説します。
冷凍倉庫のメリット
まず、メリットとなるのはどのような点が考えられるでしょうか。
廃棄などのフードロスが減る
冷凍しなければ品質を保てない商品は、注文キャンセルなどで行き場がなくなると、廃棄せざるを得ません。また、冷凍食品を多く取り扱うコンビニエンスストアやスーパーなどにおいては、店舗の倉庫には限りがあり、超過した分は廃棄されます。
そこで冷凍倉庫を借りれば、廃棄するコストをかけずに保存できます。これにより、自社の損害を減らすだけでなく、地球環境にも貢献することが可能です。
食品などの品質が保たれる
冷凍倉庫で品質を維持できれば、常に鮮度の高い商品を提供できます。これにより、顧客の満足度を高め、売上を伸ばすことにもつながるでしょう。
また、食品の品質を維持することで、食中毒などのトラブルを未然に防ぐことも可能です。
レンタルすることでコストを削減できる
冷凍倉庫を借りれば、自社で倉庫を建てるよりもコストを抑えられます。また、会社が移転する際にも、倉庫を移動させる必要がなく、コストを削減できます。
冷凍倉庫のデメリット
続いて、デメリットの側面も見ていきましょう。
コスト面の負担が大きい
一番のデメリットは、通常の倉庫よりもさらにコストがかかることです。初期費用であれば自社で倉庫を建てるよりも、外部の倉庫を借りた方が安上がりです。しかし、長期的にみると借りているコストが初期費用を上回る可能性もあります。
原状回復の必要性
冷凍倉庫を借りる場合、契約終了時には借りた状態に戻す必要があります。また、預けられるものには制限がある場合もあります。
原状回復が難しい場合や、倉庫に影響を与えそうなものを預ける場合は、契約書を確認して、事前に倉庫業者と相談しましょう。
作業する従業員の負担
冷凍倉庫で作業する従業員は、低温の環境で長時間作業するため、体に負担がかかります。低体温症や自律神経失調症などのリスクもあるため、健康な従業員を選び、厚着などを行って体温を一定に保つことが大切です。
冷凍倉庫の選び方
冷凍倉庫を選ぶ際は、費用・立地などに目が行きがちなものの、倉庫の質にも注意を払いましょう。ここからは冷凍倉庫をどのように選べば良いか、いくつかの注意事項について紹介します。
適切に管理できるか
冷凍倉庫を選ぶ際は、取り扱う製品の適切な温度で管理してもらえるかを確認することが重要です。夏場など外気温が高くなっても、倉庫内の温度が公示している温度を保てているか、設備が定期的にメンテナンスされているかを確認しましょう。
トラブルに対応してもらえるか
預けた商品に汚損や破損などのトラブルが発生した場合、迅速に対応してもらえる点も重要です。特に商品を預けている場合、トラブル対応が迅速でなければ経営に被害が出る可能性があります。連絡が取りやすく、対応が素早いかどうかを見極めましょう。
どこまで委託するか
冷凍倉庫では、保管だけでなく、ピッキングや物流などの業務を委託することも可能です。ただし、すべてを委託すると費用がかかる場合もあるため、自社の得意・不得意を踏まえて、必要な業務のみを委託するようにしましょう。
まとめ
冷凍倉庫には耐用年数が存在し、その年数によって減価償却を受けられます。一方で固定資産税がかかることもあります。
耐用年数は必ずしも、その期間しか倉庫を使えないものではないものの、安全に倉庫の貸し借りをするためにも常にメンテナンスを行いましょう。そして古い倉庫を長く使わないようにすることが重要です。
そして借りる側も倉庫におかしなところがないか、用途に見合っているかを考えて契約をすると、無駄なく荷物を預けられるでしょう。
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