テント倉庫とは?用途やメリット・デメリット、耐用年数を解説!

会社の在庫商品や物品保管場所に、倉庫を利用する人が増えています。倉庫は、システム倉庫やプレハブ倉庫、テント倉庫などの種類があり、どの倉庫が良いか迷う人も多いでしょう。なるべく低コストかつ短工期で建てたい場合は、テント倉庫が適しています。そもそもテント倉庫とはどのような倉庫なのでしょうか。

この記事では、テント倉庫の用途やメリット・デメリットを解説します。

テント倉庫とは

テント倉庫は、軽量鉄骨で骨組みを作り、その上にシート状の膜を貼るタイプの倉庫です。低コスト・短工期で施工でき、短期の運用に適しています。まずは、テント倉庫の概要や用途を紹介します。

テント倉庫の条件と種類

テント倉庫には、法律で大きさや構造に決まりや制限が存在します。国土交通省告示第667号に基づく条件で、内容は以下のとおりです。

施設設備基準

<テント倉庫の条件>

使用目的 倉庫、物品保管
規模 延べ床面積1000㎡未満
高さ 軒高5m以下
間口 間口30m以下
屋根 切妻、片流れ、円弧のいずれか
構造 鉄骨造の骨組みと膜材料を使用する
すべての側面に屋根と壁があること
階数 1階建てのみ(平屋)

上記の条件を満たせば、「テント倉庫」と認められ建築できます。

また、テント倉庫は、「閉鎖式」「側面開放式」「可動式」の3種類あります。それぞれの特徴をみていきましょう。

閉鎖式
すべての面がシートで覆われているタイプのテント倉庫です。使用用途には、倉庫や作業場、スポーツの屋内練習場、プールに適しています。

側面開放式
側面すべてまたはいずれかが解放されているタイプのテント倉庫です。荷捌きテントや上屋テントと呼ばれています。使用用途には、トラックの積み下ろし作業、塗装作業、雨よけ通路に適しています。

可動式
可動式は、「伸縮式」と「移動式」があります。伸縮式はジャバラテントとも呼ばれ、自由自在に伸縮できます。移動式はキャスターがついていて、簡単に移動できるテント倉庫です。可動式倉庫テントの場合、下水管の工事などで施工現場に沿って資材を保管できます。

テント倉庫の幅広い用途

1000m²以上のテント倉庫を建てる場合は、国土交通省告示第666号(膜構造建築物)に基づく建築物に該当します。用途は、倉庫以外の用途でも使用できます。具体例は、以下のとおりです。

  • ドックラン
  • スポーツの室内練習場
  • ショールーム
  • 室内プール
  • イベント会場

国土交通省告示第666号で定める基準は、667号よりも制限が緩和されます。

<国土交通省告示第666号で定める基準>

使用目的 倉庫、物品保管
規模  制限なし(閉鎖型は、3,000㎡以内)
高さ 軒高13m以下
間口 制限なし
屋根 切妻、片流れ、円弧のいずれか
構造 鉄骨造の骨組みと膜材料を使用する
制限なし
階数 制限なし

テント倉庫のメリット

テント倉庫のメリットは、短工期や低コスト、節電が挙げられます。それぞれみていきましょう。

短期間で建設できる

テント倉庫の施工は、ヒアリングから各種調査や申請、基礎工事とさまざまな工程を経て工事完了となります。納期は、おおよそ1.5〜3ヵ月です。シンプルな構造で仕上げられるため、短い施工期間で完成できます。具体的な建設完了までの流れは、以下のとおりです。

1.ヒアリング
事前にテント倉庫の用途や大きさ、オプションなど要望を共有します。

2.各種調査と見積もり
希望通りのテント倉庫が実現可能か、実際の現場で確認します。ヒアリングと現場調査に結果に基づき、見積もりを作成し提案されます。

3.契約
仮設計や見積もりに合意できれば、契約へ進みます。施工前に建築確認申請など必要な手続きも行います。テント倉庫は建築物に分類され、建築確認申請の手続きが必要となるので注意しましょう。

4.基礎工事
建築確認申請が通れば、施工開始です。まずは、骨組みの基礎工事から始めます。テント生地や必要な部材も同時に製作します。

5.テント倉庫の建設
部材を組み立て、テント生地を貼り、倉庫を完成させます。

6.施工完了・引き渡し
工事が完了したら、現場で最終確認を行い引き渡しです。

変形している土地でも建てられる

テント倉庫は、三角形やひし形の建物を建てにくい変形地でも建築が可能です。敷地の形状に合わせて自由に設計できるのは、大きなメリットでしょう。

また一般的に1m²当たり5トン未満の地盤は、建物を建てる際に杭を打ち込む工事を行なわなければなりません。テント倉庫は軽量のため、杭工事を行う必要がなく、直接建てられます。

施工費が安い

テント倉庫は、低コストで施工ができます。シンプルな構造により、短期間施工が可能になるため、材料費や人件費が抑えられるのです。

例えば、500㎡で高さ5mの倉庫を建てると想定した場合、相場は約2,000万円です。同じ大きさでほかの手法だと、システム建築は4,000万円、プレハブ3,000万円ほどかかります。

増設や移設が簡単にできる

解体や増設が簡単にできるメリットがあります。使われている部材が少ないため、新しく増設する場合や解体、移設が比較的容易にできるのがテント倉庫の特徴です。

節電になる

テント倉庫は、屋根から太陽光が差し込みやすく、室内が明るくなります。昼間の照明を使わずに作業が行えるため、ランニングコストを抑えられるでしょう。

テント倉庫のデメリット

テント倉庫のデメリットには、シートの張替えや室内の温度調整が挙げられます。それぞれみていきましょう。

シートの張替えが必要

シートは定期的にメンテナンスと張替えが必要です。10年を目途に新しいシート生地に取り替えましょう。シート生地の破れ程度であれば、シールを貼るだけで修繕はできます。

夏は暑くなりやすく、冬は寒く結露しやすい

外気温に室内気温が左右される点はデメリットでしょう。テント倉庫のシート生地は、通常の壁材よりも断熱性や耐久性が劣ります。夏は暑くなりやすく、冬は寒くなりやすく、寒暖差により、倉庫内に結露が発生する可能性もあります。
結露はカビの発生リスクがあるので対策が必要です。ベンチレーターやシーリングファンの設置で、空気を循環させられます。環境に合わせたオプションをつけると効果的です。

テント倉庫の耐用年数

テント倉庫を使える期間はどのくらいなのでしょうか。法定耐用年数は、国が定めた固定資産が使える期間です。ここからは、テント倉庫の耐用年数を紹介します。

耐用年数は約20年

テント倉庫の耐用年数は、一般的に15〜20年と言われています。
耐用年数はあくまで目安で、環境によって劣化が早く進む可能性があります。経年変化に影響を与える要因は、以下のとおりです。

紫外線
紫外線にさらされる時間が長いほど、経年劣化は進みます。日当たりの良い場所は、その分耐用年数が短くなると考えておきましょう。

潮風
骨組み部分の鉄骨は、潮風によって錆やすくなります。海に近い場所は、劣化が進みやすいので耐用年数5年が目安です。

自然災害
台風や積雪、地震などの自然災害が多い土地も、テント膜の摩擦が早くなり劣化は進みやすくなります。

設置場所を考慮して、定期的にメンテナンスを行いましょう。

テント地の張替えは、10年を目途に

テント生地は、骨組みよりも劣化が早く進むため、10年を目途に張替えが必要です。テント膜を2回張り替えたら、テント倉庫本体の耐用年数が近いと考えて良いでしょう。
メンテナンスは、鉄骨部分の歪みや錆、テント生地表面の劣化や亀裂を確認します。経年劣化を放っておくと、以下のようなリスクがあるので必ず行いましょう。

  • 雨漏りによる倉庫内の被害
  • 破損箇所からの害獣や害虫の侵入
  • 骨組みの歪みによる倒壊

まとめ

この記事では、テント倉庫の用途やメリット・デメリットを解説しました。低コストでスピーディーに建てられるテント倉庫は、使い勝手が良い倉庫です。目的や用途、予算をほかの倉庫と比較して自社に合う倉庫を選びましょう。




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