賃貸の倉庫に住める?倉庫に住む違法性と住んでも良い物件の特徴を解説

貸倉庫は、発注した物品の保管や商品の大量保管に便利な物件です。賃料が安いことから、住居として利用する人もいます。貸倉庫を住居として利用することは、法律で禁止されています。住居として必要な設備が整っていないため、生活する上でさまざまな不便や危険が生じます。

この記事では、貸倉庫に住む危険性や違法性、住めない貸倉庫を住めるようにする方法を解説します。

賃貸の倉庫に住むのは危険かつ禁止

賃貸倉庫は、セキュリティ面で内側から鍵を閉めることができず、ガス・水道・電気のインフラや防災設備などのライフラインが整っていない場合がほとんどです。そのため、火災が発生した場合、煙を吸い込んだり、逃げ場を確保できなかったりして命を落とす危険性があります。また、法律や利用規約で住むことが禁止されている場合がほとんどです。

借地借家法により禁止

貸倉庫は、住居として利用する目的で建てられた建物ではないため、借地借家法の適用外となります。そのため、住民票の登録はできません。借地借家法とは、土地や建物を賃貸する場合に適用される法律です。本来、賃貸物件は用途によって適用される法律が異なります。

住民登録をする際、役所の戸籍担当は、法律上住める場所かどうかをチェックします。倉庫の場合、倉庫業法が適用されている建物なので、居住に関する法律を当てはめることはできません。そのため、貸倉庫に住むことは、住民票の登録ができないだけでなく、法律違反につながるリスクがあります。

貸倉庫の利用規約で禁止

貸倉庫の契約書には、一般的に「宿泊や仮眠などの長時間の滞在は禁止する」という内容が記載されています。貸倉庫は住居としての使用だけでなく、寝泊まり自体が禁止されている場合がほとんどです。

ただし、都心部などでは、倉庫だった物件を改装して、ネットカフェのように寝泊まりできるスペースにして貸し出している物件もあります。このような物件は、建物の構造や設備を住居用に改修し、法的にも住めるように手続きを経ているため、例外として考える必要があります。

倉庫に住みたいのならリフォーム・リノベーション

近年、倉庫リフォーム・倉庫リノベーションが注目を集めています。ここからは、改築した倉庫に住むメリットやデメリット、改築する際の注意すべきポイントについて解説します。

倉庫を改築して住むメリット

倉庫を改築して住むメリットを3つ紹介します。

賃料が安い

貸倉庫を住宅にすると、賃料が住宅よりも安くなります。新しく住宅を契約するよりもコストパフォーマンスが良く、初期費用を抑えることが可能です。また、段階的に改築していけば、必要な要素を足していきながら、理想の住宅を実現できます。

<h4>開放感のある空間を生かせる</h4>
倉庫は広々とした空間を実現しやすいです。住宅を改築する場合、柱や壁があると、思うように空間を広げられないことがあります。しかし、倉庫は構造上、柱や壁が少ないため、開放感のある空間を実現できます。

おしゃれな空間が演出できる

倉庫は、コンクリートの打ちっぱなしなど、おしゃれとは程遠いイメージを持つ人もいるでしょう。しかし、海外の映画やドラマでは、倉庫をそのままの内装にしたおしゃれな家が映ることもあります。また、実際に倉庫を改築して住居にしている人の中には、シンプルかつ無骨な内装が良いと考える人もいます。倉庫ならではの雰囲気を活かして、理想の空間を演出できます。

改築するデメリット

貸倉庫を改築するデメリットを3つ解説します。

多額の料金がかかる

倉庫を住宅に改築する場合、コストパフォーマンスを維持するためには、ある程度の妥協が必要となる場合があります。たとえば、空調や窓などの設備を増設するためには、大規模な工事が必要となり、改築費用がかさむ可能性があります。そのため、事前に予算をしっかりと立てて、必要な設備や仕様を検討することが大切です。

また、改築は段階的に進めることも可能です。最初は必要最低限の設備を設置し、将来的に予算に余裕があれば、追加で設備を増設するといった方法も検討できます。

電気・水道・ガスのインフラが整っていない

倉庫を住宅に改築する場合、電気・水道・ガスのインフラを整備する必要があります。これらのインフラを整備するためには、増改築が必要となり、費用がかさむ可能性があります。

また、倉庫がある地域によっては、インフラが整っていない場合もあるため、事前に確認しておくことが大切です。

原状回復を求められる可能性がある

倉庫を賃貸で借りて改築する場合、契約終了時に原状回復を求められる可能性があります。原状回復とは、倉庫を貸し出す直前の状態に戻すことを指します。

そのため、改築する前には、必ずオーナーに相談して、原状回復の必要性を確認しておく必要があります。原状回復の費用は、借主が負担するケースが一般的です。

リフォーム・リノベーションを行う際の注意点

貸倉庫をリフォーム・リノベーションする前に注意すべき点がいくつか存在します。ここからは注意点を3つ解説します。

貸主への相談・許可をとる

貸倉庫は、誰かによって所有されています。そのため、オーナーに相談・許可を得ずに増改築を行うと、用法遵守義務に違反することになり、損害賠償や賃貸契約解除を求められてしまうことがあります。また、原状回復を求められた際にも対応できるよう、増改築を行う際には必ずオーナーに許可を取るようにしましょう。

用途変更の手続きを忘れずに

賃貸倉庫を住宅にする場合、必ず用途変更の手続きが必要です。用途変更とは、建物の本来の目的とは異なる用途に利用する際に必要な届出のことを指します。建物を別の用途で使用する際には、変更手続きが必要になるため、注意が必要です。万が一手続きを踏まずに倉庫を住宅として使用した場合、建築基準法違反となります。

必要な工事を把握しておく

リノベーション・リフォームを行う際には、必要な工事を把握しておく必要があります。断熱工事や耐震補強工事などを行うことで、費用が大きくかかる可能性があります。また、倉庫と住宅では建築基準法で求められる耐震性能などが異なるため、注意が必要です。すべての工事を把握し、基準を満たしているか、違法性がないかどうかを逐一確認しましょう。また、増改築を行う際には、業者に任せきりにせず、自身でも工事内容を把握することが重要です。

まとめ

倉庫をそのまま住居として使用することは、法律や契約に違反する可能性があります。また、セキュリティ上の不安や、住居に必要なインフラが整っていないなどの理由から、現実的ではありません。

倉庫を住居として利用したい場合は、増改築によって用途を変更する必要があります。その際は、建築基準法や都市計画法などの法令を遵守し、所有者や賃貸人との契約に違反しないよう注意が必要です。




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