貸し倉庫の料金相場。事業用倉庫を安く抑えて借りるポイントを解説

貸し倉庫の利用を検討しているけど、具体的な料金の相場がわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。借りる際は、できれば料金は安く抑えたいものです。この記事では、貸し倉庫の料金相場や安く抑えるポイントについて詳しく解説します。

貸し倉庫とは

貸し倉庫とは、主に法人が自社の所有物を保管・管理するために使う倉庫です。不動産賃貸契約に基づくサービスであり、多くは倉庫全体を貸し出す形態をとります。大量の荷物の保管が出来ることや利用用途の自由度の高さがメリットです。一方、荷物に対しての保証がなく、使用した法人の自己責任で管理する必要があります。

また、貸し倉庫はトランクルームと混同されがちですが、トランクルームは主に個人を対象とした委託契約に基づくサービスで、倉庫内を区切って貸し出す形態を指します。したがって、トランクルームは貸し倉庫とは異なるサービスなので注意しましょう。

貸し倉庫の種類

貸し倉庫の種類には、平屋建てタイプ・多層階建てタイプ・ビルや共同住宅の1階にあるテナントタイプがあります。商品の出し入れの頻度や事務所の必要性、周辺環境に与える影響を考慮して検討しましょう。

平屋建てタイプ
一般的な平屋建ての倉庫です。ワンフロアのため商品の出し入れがしやすい点がメリットです。一方、多層階建てタイプに比べて坪単価が高い点や事務所が付いていない点がデメリットとして挙げられます。また、物件数が少ないので競争率は高いといえるでしょう。

多層階建てタイプ
賃貸部分が複数階にわたる倉庫です。1階は倉庫、2階は事務所として利用できる自由度の高さがメリットといえます。上階への荷物の出し入れも、エレベーターや荷物用リフトがあれば気にならなくなるので、倉庫の設備も合わせて確認しましょう。

テナントタイプ
ビルや共同住宅の1階にある倉庫です。物件数が多く、数ある物件の中から選べます。しかし、都心部付近は募集条件が厳しく、作業音が出る業種は借りられない場合もあるので注意が必要です。

貸し倉庫の料金形態と相場

貸し倉庫の料金形態は賃貸住宅とほぼ同等です。ここでは、具体的な費用の内訳と相場について解説します。

初期費用

初期費用は、貸し倉庫を借りた初回のみに発生する費用です。例えば、倉庫の鍵代や事務手数料、敷金・礼金や補償金などが挙げられます。相場の目安は以下のとおりです。

  • 礼金:月額料金の2~3ヵ月分
  • 敷金:月額料金の3~4ヵ月分
  • 保証金:月額料金の6ヵ月分
  • 契約手数料:月額料金の1ヵ月分

おおよそ月額料金の14ヵ月分が初期費用になります。よって、貸し倉庫の月額料金が15万円であれば、210万円は初期費用になると考えて良いでしょう。

月額料金

月額料金は、貸し倉庫を借りたら1ヵ月ごとに発生する費用です。貸し倉庫の立地や広さ、築年数や周辺環境によって決まります。例えば、都心に近かったり広かったりすると月額料金も比例して高くなるでしょう。

月額料金の相場は、坪単価×建物の面積が一般的です。つまり、月額料金は土地の坪単価に
大きく影響します。下記がエリアごとの坪単価の平均です。

エリア 平均の坪単価
埼玉県 4,200円
千葉県 4,000円
東京都 6,600円
神奈川県 5,800円

また、貸し倉庫には屋内型と屋外型の2種類があります。屋外型は屋内型に比べて安い傾向にありますが温度管理がされていないケースが多く、保管する物品には注意が必要です。屋内型はセキュリティーがしっかりしていて安心なものの、その分高い傾向にあります。

その他の費用

「その他の費用」は、「初期費用」「月額料金」を除いた雑費です。例えば、火災保険や保証料、延滞料や更新料などが挙げられます。また、火災保険には2種類あり、借主は貸し倉庫の設備に対する火災保険に入ります。建物に対する火災保険は、貸主が加入するので不要です。貸し倉庫の更新料は月額料金の数か月分であることが一般的です。

貸し倉庫の内見で見るべきポイント

貸し倉庫の内見は非常に重要で、物件情報で確認できない点を重点的に確認しましょう。主に確認すべきポイントを紹介します。

倉庫出入口の幅と高さ

倉庫出入口の幅と高さは、保管できる荷物の大きさに影響するため、しっかり確認しましょう。あとから拡張などはできないため、出入口の寸法を図ることが大切です。

倉庫内の温度・湿度

湿温度計などを持参して確認するようにしましょう。温度や湿度に影響されやすい物品は保管できません。例えば、機械類や紙製品などが挙げられます。

貸し倉庫の料金を安く抑えるには

貸し倉庫の料金を安く抑えるには、事前に条件を決めておくことが大切です。アクセスの良さや利便性、設備の新しさに目を奪われると料金も高くなります。ここでは、貸し倉庫の料金を安く抑えるポイントを紹介します。

郊外の倉庫を選ぶ

郊外の倉庫を選ぶと料金を安く抑えられます。都心にこだわる理由がないのであれば、郊外の倉庫を選びましょう。倉庫の利用頻度も考慮した上で、妥協できるラインを選ぶと良いでしょう。

荷物の量に合わせた倉庫を選ぶ

荷物の量に合わせた倉庫を選びましょう。スペースが余っていると余計にお金が発生します。「念のため大きな倉庫が良い」と考えがちですが、大量の荷物を保管する予定がないのであれば、最低限の広さを選ぶようにしましょう。

貸し倉庫を借りる際の注意点

決めごとや責任に関する内容は、後々トラブルになりやすいといえます。借りる前にしっかり確認するようにしましょう。ここでは特に注意が必要な2点を紹介します。

使用方法に問題はないか

料金が安いからといって即決するのは危険です。作業音が出る業種は使用不可など、細かい制約が生まれる場合があります。また、使用方法を変えるには用途変更という手続きが必要になります。したがって、物件の募集条件はしっかり確認してから契約するようにしましょう。

残置物に注意する

残置物とは、以前の入居者が残していった私物です。設備と混同されがちですが、設備は貸主が使用できる状態にして用意したものを指します。もしエアコンが残置物で故障していた場合、撤去費用は借主の負担になります。トラブルを避けるためにも、どれが設備でどれが残置物なのか確認するようにしましょう。

まとめ

貸し倉庫の料金相場や安く抑えるポイントについて解説しました。料金形態は一般的な賃貸とほとんど同じであり、「初期費用」「月額料金」「その他の費用」が主な費用となります。初期費用の相場は月額料金の約14ヵ月分、月額料金の相場は「坪単価×建物の面積」で算出することが一般的です。火災保険や保証料、延滞料や更新料などがその他の費用になります。

荷物の量に合わせた倉庫を郊外で探すことが、料金を安く抑える重要なポイントといえるでしょう。




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