倉庫の修繕はどうすれば良いのか?費用や目安について解説

倉庫の修繕方法や、費用の目安が気になっている方も少なくないでしょう。修繕にはメリットがあり、倉庫の耐久性の向上や資産管理に役立ちます。では、どのような方法やタイミングで行えば、倉庫の修繕を成功に導けるのでしょうか。この記事では、修繕のメリットやタイミング、修繕の費用や目安などについて解説します。

倉庫の修繕タイミングの見極め方

ここでは倉庫を修繕するメリットを4つ紹介します。

資産価値を維持できる

長期間修繕を行わずにいると、自然現象による物理的な劣化や経年劣化により、倉庫の状態が悪くなり資産価値が下落します。資産価値の維持には外壁修理や塗装など、定期的な修繕が必要です。資産価値が低下していると倉庫を売却や賃貸に出す際の価格や家賃に悪影響があります。

定期的な修繕はランニングコストがかかりますが、長期的な視点で見るとメリットは大きいでしょう。

耐久性を向上できる

ひび割れや破損などの劣化を放置すると、倉庫内に雨水が入り、機械や材料などが濡れる恐れがあります。機械が濡れると漏電のリスクがあり、商材が濡れてしまうと商品として出荷できなくなります。劣化がひどく、大規模な修繕が必要になると長期的に休業せざるを得なくなり、作業ができなくなるため生産性の低下を招きかねません。

定期的な修繕により倉庫内の設備や物品を守るだけでなく、倉庫の寿命を延ばすことができ、大規模修繕工事や建て替え工事などにかかる大きな出費を抑えられます。

労働環境を整備できる

エアコン設備がないために夏が暑く、暖房設備がないために冬が底冷えしてしまうと、作業に集中できなくなりミスも増えるなど労働環境は劣悪なものとなります。外壁や屋根を断熱効果のある素材に変えるなど修繕をすることで労働環境の整備につながります。

雨漏りによって床が濡れてしまい従業員がケガを負ってしまうと、労働災害として認められる可能性もあります。定期的な修繕を行っていると、労働災害のリスクを低下させられるため、雇用主も安心して倉庫での業務を従業員に任せられるでしょう。

光熱費を削減できる

省エネ効果のある照明設備や空調設備の使用により、光熱費の削減が期待でき、ランニングコストの抑制が可能です。運営コストを下げられるため、収益アップに貢献するでしょう。

遮熱・断熱塗料を外壁に塗装すると、塗料の持つ反射機能と断熱機能によって太陽光から倉庫を守り、室内温度と屋根の表面温度を下げることが可能です。断熱機能は室内の冷気を外に逃がすことがないため、空調期の使用量が低減でき、少ない台数で温度を保持できます。

倉庫を修繕するタイミングは?

倉庫を修繕するタイミングを2つ紹介します。

耐用年数で見極める

倉庫の耐用年数が過ぎたときは、修繕工事を検討するタイミングです。具体的には、鉄部の塗装は4〜5年、外壁塗装の防水加工は10〜15年、屋根材は15〜20年が耐用年数の目安です。ただし、塗料や材質によって耐用年数が短い場合もあるため、あくまでも目安として考えましょう。

劣化状況で見極める

耐用年数が数年残っていたとしても、塗装が剥がれていたり、外壁にひびが入っていたりなどの劣化がみられる場合は、修繕工事を検討しましょう。劣化のサインとして、以下のようなものが挙げられます。

    • 雨漏り
    • 外壁に触ると手に白い跡がつく
    • 外壁にひびが入っている
    • 倉庫内が異常に暑い

これらの状態は、商品に影響を与えかねないため、修繕工事や断熱補強などを検討しましょう。

倉庫の修繕方法とは?

倉庫の修繕の理由
ここでは倉庫の修繕方法を、屋根と外壁に分けて解説します。

屋根の修繕方法

屋根の修繕方法は、主に以下の3つがあります。

屋根塗装

チョーキングや色褪せ、サビなど補修に有効で、劣化の状態が比較的軽度の場合に用いられる修繕方法です。遮熱塗料を使い塗装すると、屋根材と室内温度の上昇を抑え、空調の負荷を軽減できます。外観を損ねないための軽度の劣化修繕だけでなく、遮熱・防水塗料などによる熱や雨などへの保全対策にも効果的です。

カバー工法

多くの屋根材に有効な修繕方法で、波板スレートだけでなく折板屋根、瓦棒葺き屋根などもカバー工法による修繕が可能です。既存の屋根の上に防水紙を貼り、その上に金属の屋根を張ります。

カバー工法で用いる屋根材は断熱材が使用されているため、断熱性能が高い特徴があります。また、防水紙を使うので防水性が高く、屋根が二重構造となるため遮音性も向上します。修繕価格が葺き替え工事よりも安く、倉庫が稼働していても工事ができる点はメリットです。ただしカバー工法では、屋根の内部を点検できず、劣化の状態を正確に把握することはできません。メンテナンスとしては有効ですが、劣化の根本解決には至らない点はデメリットです。

葺き替え

劣化の状態が比較的重度で、屋根材と下地材の状態が悪い場合に有効です。
屋根材とその下にある防水シートを取り外し、新たな屋根材と防水シートに張り替える修繕方法です。屋根の耐久性が向上したり、屋根の軽量化し耐震性能が改善するなどのメリットがあります。

ただし、修繕費用が高くなるのと、工期が長く、振動や大きな音、ほこりが発生するデメリットがあります。

外壁の修繕方法

外壁の修繕方法は、主に以下の3つがあります。

外壁塗装

外壁塗装のメリットは、耐久性や防水性の向上できる点です。外壁のデザインを変えることで、外観の見た目を良くできる点もメリットです。また、工期が短く修繕の費用を比較的安く抑えられます。
使用する塗料によって耐用年数が異なるため、種類によっては早い段階で塗装が剥げてしまい防水効果が低下する可能性があるので確認しておきましょう。

外壁カバー工法

外壁カバー工法は現在の外壁材の上から、新しい外壁材を貼る方法です。外壁塗装と比べ、外観の美しさを長く保つことができ、費用を抑えられるため、人気の修繕方法といえます。
既存の外壁の上から新たな外壁をかぶせるため、断熱性能の向上が期待でき冷暖房効果に期待できます。
ただし外壁が二重になることで重量が増し、倉庫全体に負担がかかるため、耐久性が低下する点はデメリットです。

外壁張替え

外壁張替えは既存の外壁をすべて撤去し、内部の劣化を補修するため、耐久性が向上します。また外観が美しくなり断熱性や遮音性が高まり、作業環境を快適にできます。
ただし費用が高額となり工期が長く、修繕中は業務の中断を余儀なくされる可能性がある点はデメリットです。

修繕工事の費用目安

ここからは、屋根と外壁の修繕費の費用目安について解説します。

屋根の修繕費の目安

ここからは各方法ごとの、屋根の修繕費の目安を紹介します。

屋根塗装

屋根塗装における屋根材ごとの修繕費の目安は以下のとおりです。

屋根材 1㎡あたりの費用相場
波板スレート 5,000円〜8,000円前後
折板屋根 4,000円〜7,000円前後

カバー工法

カバー工法における屋根材ごとの修繕費の目安は以下のとおりです。

屋根材 1㎡あたりの費用相場
波板スレート 8,000円〜10,000円前後
折板屋根 5,000円〜8,000円前後

葺き替え

葺き替えにおける屋根材ごとの修繕費の目安は以下のとおりです。

屋根材 1㎡あたりの費用相場
波板スレート 24,000円〜30,000円前後
折板屋根 13,000円〜18,000円前後

外壁の修繕費の目安

ここからは外壁の修繕方法3つの修繕費の目安を解説します。ただし業者や施工方法によって費用は異なるため、修繕の際は各業者の情報を調べましょう。

外壁塗装

外壁塗装は使用する塗料によって費用相場が異なります。塗料によって異なる平米当たりの費用相場は以下のとおりです。

モルタル ALC
ウレタン 1,500~1,800円 1,800~2,100円
シリコン 1,800~2,100円 2,100~2,400円
遮熱 2,000~2,300円 2,300~2,600円
フッ素 2,400~2,700円 2,700~3,000円

外壁カバー工法

外壁カバー工法の1㎡あたりの費用相場は、3,500〜6,000円です。カバー工事では撤去費用がかからないので、費用を抑えることが可能です。

外壁張替え

外壁張替えの費用は、1㎡あたり4,500〜7,000円です。全面張替えには200〜280万円が目安となります。

改修工事の際に業者を選ぶコツ

改修工事の際に業者を選ぶコツ

ここでは、修繕工事の業者を選ぶコツを4つ紹介します。

修繕の実績が豊富か

倉庫の修繕を依頼する際は、業者に実績があるかどうかを確認しましょう。

業者によっては知識不足から的確な修繕計画を作成できず、工期が遅れるなどの問題が発生する恐れがあります。過去の実績だけでなく、保有資格を確認し、倉庫の修繕を依頼するのに適切な業者が判断しましょう。過去の修繕実績は、業者のホームページやSNSなどで確認することができます。

詳細な見積書を提示してくれるか

メンテナンスや修繕工事の費用は、業者によって大きく異なります。そのため、見積もりの内容が詳細に記載されているかどうかも重要です。「一式いくら」など、概算の見積もりしか作成しない業者は、作業内容や単価、費用などの内訳が不明瞭です。そのため、見積内容が適正かどうか判断しづらく、トラブルに発展する可能性もあります。

打ち合わせ時に話した内容が契約として成立しているのかは、見積書の詳細を確認しないと判断できません。ケースによっては追加費用の発生も考えられるため、修繕内容について詳細に見積書が作成されている業者を選びましょう。

保証やアフターサービスが充実しているか

建物には耐用年数があり、倉庫も年々劣化が進みます。倉庫をより良い状態で長く使用するためには保証が設けられている、アフターサービスが充実している業者を選びましょう。保証がなければ追加費用が発生することもあるため、不備があった場合に無償で対応してくれる業者を選ぶと修繕後も安心です。保証書については、保証年数だけでなく保証内容や範囲も確認しましょう。

明確な不具合がなくても定期的に連絡や点検をしてくれるなど、アフターサービスを提供してくれる業者かどうかも、事前に質問・調査しましょう。

担当者の対応が丁寧か

倉庫のメンテナンスや修繕は、施工業者と相談しながら進めていくことが多くなります。そのため、担当者の対応も重要なポイントです。倉庫の修繕は、頻繁に行うものではないため、不明点や不安点などが出てくることもあるでしょう。質問に対して適宜・適切に対応してくれる担当者であれば、安心して修繕の依頼ができます。担当者とのコミュニケーションが円滑であればトラブルを防止でき、滞りなく修繕を進めることができます。また、アドバイスをしてくれる担当者であれば、より良い仕上がりにつながるでしょう。

まとめ

まとめ

倉庫の修繕は、資産価値や耐久性の向上など、企業にとってさまざまなメリットがあり、明らかな劣化が確認できなくても、メンテナンスを含めて修繕を検討しましょう。労働環境が整備されれば、従業員のモチベーションに影響を与え、生産性の向上も期待できます。
修繕を行う際は、適切な対応をしてくれる業者を選ぶと、後々のトラブルの回避につながります。
倉庫の修繕を検討中の方は、修繕の目安や費用の目安などをしっかり確認して、失敗のない倉庫修繕を目指しましょう。




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