低床倉庫とは?倉庫としてのメリット・デメリットや向いている保管物について解説

倉庫は低床倉庫・高床倉庫の2種類に分けられます。低床倉庫は床が低く、地面と同じ高さの倉庫です。床の高さによって特徴は異なり、それぞれ得意とする保管物も変わります。それでは、低床倉庫にはどのような特徴があるのでしょうか。本記事では低床倉庫の特徴や、メリットとデメリットについて解説します。

低床倉庫とは

低床倉庫とは、1階の床面が地面と同じ高さになるように設計された倉庫のことです。一方、高床倉庫という倉庫も存在します。それぞれの倉庫の特徴を理解すると、倉庫をどのように管理すると良いのかがわかるでしょう。

低床倉庫の特徴

低床倉庫は床の高さが地面と同じで段差がないことから、トラックの乗り入れがしやすく、荷物を積み下ろししやすい特徴があります。作業が効率的になり、時間を短縮できるため、より多くの荷物を受け入れられる可能性が生まれます。

反対に、浸水やほこりなどの影響を受けやすい点がデメリットです。そのため、繊細で高価な荷物は保管しづらいといえます。

高床倉庫との違い

高床倉庫は地面よりも高い位置に倉庫の床を作るため、衛生面で利点があります。ただし、あまりにも重量のあるものを保管する際には、地面と接地している低床倉庫の方が向いています。

低床倉庫のメリット

低床倉庫と高床倉庫で建てる倉庫を悩んでいる場合は、想定している倉庫に見合う倉庫がどちらかを判断しましょう。ここでは低床倉庫のメリットを3つ紹介します。

トラックで倉庫内に乗り入れられる

地面と床が地続きになっているため、トラックが倉庫内に入れるため、効率的に荷物の積み下ろしができます。また、作業員が荷物を運ぶとしても、短距離で済みます。時間短縮と作業員の負荷軽減の双方にメリットがあるでしょう。

トラックの乗り入れを考えた倉庫のレイアウトにするならば、ドアの開閉に配慮するのもおすすめです。大きく、かつなるべく素早く開くドアであれば、より効率的に作業できるようになります。

倉庫内でフォークリフトが使える

フォークリフトもトラックと同様に、倉庫内に乗り入れができます。フォークリフトを倉庫内で使用すると重い荷物を運べるため、作業員の負担を大幅に軽減します。また、人の手では届かない高い位置にも、荷物を収納することが可能です。

建築コストが削減できる

地面から床を底上げする必要がある高床倉庫に比べて、低床倉庫は建築コストを削減できるメリットがあります。ただし、実際の建築費用は、施工業者によって異なります。倉庫を建てる際には必ず見積もりをしてもらい、建築コストがどのくらいになるかを調べましょう。

また、建築コストが低い分、賃料や保管料を安く設定できるメリットもあります。そうなると利用者が増えて繁盛する可能性が高まります。

低床倉庫のデメリット

低床倉庫のデメリットも併せて紹介します。

荷台が高いトラックは出し入れしづらい

トラックにも低床トラック・高床トラックの2種類があり、倉庫と同じように使い勝手・特性が異なります。高床トラックは、主に高床倉庫向けに設計されており、低床倉庫では使いづらい可能性があるでしょう。

高床トラックは走行中の振動に耐性があり、ドライバーや積み荷に影響が出にくい特性を持っています。しかし、低床倉庫では荷物の出し入れが難しく、作業員の負担が増えることもあります。トラック自体は低床倉庫に入ることはできますが、作業効率が悪くなる可能性があるため、床の高さには注意が必要です。

浸水するリスクがある

台風や地震の津波などで被害が出た場合、低床倉庫は地面と床がつながっているため、浸水のリスクが高まります。浸水を避けるためには、床に荷物を置かない工夫や、土のう袋の用意が必要です。さらに、浸水しても問題のない荷物だけを預かるよう、契約時に注意事項として盛り込むこともおすすめです。

ほこりや湿気の影響を受けやすい

低床倉庫はトラックの出入りが多いため、ほこり・砂・湿気が溜まりやすくなります。ほこりや湿度の高さは、カビの発生を助長します。カビの発生を防ぐためには、こまめな換気や除湿器の利用が必要です。ただし、完璧にほこりや湿気を防ぐのは難しいため、貴重品は別の場所に保管することを検討しましょう。

低床倉庫に向いている保管物

低床倉庫は、その低い床にある特徴から、保管するにあたって向いているものと向いていないものが存在しています。向いている保管物を以下で3つ紹介します。

重い物

低床倉庫はトラックの乗り入れとフォークリフトの使用ができるため、重い物の運び入れがスムーズです。また作業員が手で運ぶ作業も減るため、従業員のけがのリスクを抑えられるでしょう。

ほこりや湿気に品質が左右されない物

低床倉庫は、ほこりや湿気の影響を受けやすい特徴があります。ほこりや湿気で使えなくなるような繊細な機械などは、低床倉庫には不向きでしょう。

湿気に強い物は「耐候性の高い物」です。耐候性とは湿度のほか、太陽光や温度の変化に関わります。例えばアクリルやテフロンで作られたものは、耐候性が高いため、低床倉庫で保存しても問題が生じにくいです。

比較的安価な物

低床倉庫はいくら対策を施していても、環境が良いとはいえません。したがって、繊細で高価な品物を保管しておく場所には向いていません。付加価値の高いものなどを預けるときは、通常の倉庫ではなく専用の倉庫に預けるのが無難です。例えば絵画は常温倉庫ではなく、空調倉庫が適しており、美術品保管専用倉庫に預けると万全です。

低床倉庫ではなるべく高価な品物を預からないよう注意し、契約書の注意事項にも記載しておきましょう。それを読んだうえで貴重品を預けたい人がいた場合のみ、預かるようにするとトラブルも起きづらくなります。

まとめ

低床倉庫は地面と倉庫の床がフラットな倉庫で、トラックの乗り入れができ、フォークリフトを倉庫内で動かせる利点があります。作業員が荷物を運ばずとも作業ができることから、作業員の負担も軽減可能です。また、建築コストも安く抑えられ、結果的に賃料や保管料も下げられる可能性もあるでしょう。

一方、床と地面が地続きであるため、ほこりや水害の影響を受けやすいデメリットもあります。湿度が高いとカビが発生しやすくなり、保管できるものが限られます。「掃除を定期的に行う」「除湿を欠かさない」「床に荷物を置かない」といった工夫をして、保管物の保全に努めましょう。




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