工場の暑さ対策はどうすれば良い?暑さの理由や対策の必要性を含めて紹介

工場の暑さを改善したいと考えている工場管理者もいるでしょう。快適な環境での作業効率アップをはかるためには、暑さ対策が必要です。この記事では、工場内が暑くなる原因や、その対策法などを解説します。

工場の暑さ対策がなぜ必要なのか

一般的に工場が暑くなる最も大きな理由としては、屋根に原因があるといわれています。他にも原因があり、それらは個人や施設側それぞれの工夫・対策によって改善が可能です。「暑くても我慢すれば良い」といった考えで工場内の暑さを放置すると、さまざまなリスクを招きます。ここでは暑さ対策が求められる理由を紹介します。

従業員が熱中症を引き起こす可能性がある

厚生労働省が定めている暑さの基準(WBGT)では、26℃〜28℃が熱中症リスクを防ぐ基準値とされています。高温多湿の場所での長期業務は、熱中症を引き起こし、症状が重症化した場合には痙攣・こん睡状態の症状を招きます。最悪の場合には死に至る場合もあるため、工場内での暑さ対策には早急な対策が必要です。

商品によっては品質低下のリスクを招く

工場内で食品や、熱に弱い材質を扱っている場合、高温の工場では品質劣化を招く可能性があります。温度管理が必要とされる金属加工や、発泡スチロール・一部の樹脂などは夏に弱いため、細心の注意が必要です。

商品の内部劣化が生じていた場合、会社の信用喪失につながります。このように企業の信頼を保つためにも、暑さ対策は必須と言えます。

工場での暑さ対策法(従業員側)

工場内での高温から健康を守るために、個人で行える対策があります。まずは高温になりやすい状況や、熱中症が発生した場合の対応を、管理者だけでなく従業員全体が把握するのが大切です。ここからは、従業員側でできる暑さ対策を解説します。

空調服・冷却ベスト(クールベスト)を着用する

空調服やクールベストなどの暑さ対策グッズを着用する方法です。空調服は小型ファンが付いた服で、外気を服内に送風することで、汗を蒸発させる気化熱により、短時間で体温を下げます。一方クールベストは、保冷剤をポケットに入れて身体を冷やすタイプのベストです。身体の広範囲を冷やす効果で、暑さによる疲労を軽減します。

クールベストを長時間使用したい場合は、予備の保冷剤をクーラーボックスに常備しておくと良いでしょう。

放湿性・吸汗性のある下着を着用する

下着は、汗を吸い取り蒸発させ、蒸れを防ぐ働きがあります。そのため放湿性・吸汗性のある下着を着用することで、体感温度を下げられます。具体的には、綿やポリエステルなどの素材がおすすめです。また下着は、ゆとりのあるサイズではなく、身体にフィットする物を選びましょう。

水分補給をこまめに行う

高温の工場内で熱中症を予防するためには、水分や塩分をこまめに補給することが大切です。特に、20分ごとにコップ1〜2杯のスポーツドリンクを飲むことが効果的です。ただし、冷たすぎる飲み物は、身体に負担になるため、5〜15度の水分を選ぶようにしましょう。また、水などの水分の大量補給は、血中塩分やミネラルを奪ってしまうため、塩あめなどの塩分補給も忘れないようにしましょう。

冷感スプレーを使用する

クールファブリックスプレーは、直接身体にかけなくても衣服にかけるだけで冷涼を感じられるスプレーです。普段着ている作業着にスプレーすれば、体感温度を下げられます。また、靴下や帽子、タオルなどにも効果を発揮します。冷感の持続性はさほど長くないため、繰り返しスプレーするのがおすすめです。

工場での暑さ対策法(施設側)

事業者は工場内の暑さで従業員が体調を崩す労災事故や、それによって稼働ができなくなるのを避ける必要があります。ここからは、工場内を涼しくする主な設備投資の方法を解説します。

スポットクーラーを設置する

スポットクーラーは、エアコンに比べて工事が不要で、局所的に冷やせる冷風機です。工場内の温度を大幅に変えたくない場合に適しています。また、エアコンに比べて電気代を節約でき、さらにキャスター付きで移動がしやすいメリットもあります。

屋根用スプリンクラーを設置する

屋根用スプリンクラーは、屋根に散水することで室内の温度を下げる暑熱対策システムです。スプリンクラーでまかれた水が蒸発し、気化熱によって屋根の表面の熱を下げます。これにより、屋根から室内に伝わる熱を軽減し、室内の冷房コストを大幅に削減できます。

遮熱シートなどを屋根や機器に取り付ける

遮熱シートは、機器から発せられるふく射熱を軽減できます。ふく射熱は空気の温度を上げる働きはありませんが、体温を上昇させるため、熱中症の原因となります。遮熱シートを使って高温器具から放出される熱を抑えることで、工場内にいる従業員の健康を守り、またエアコンにかかる電気代も削減できます。

ビニールカーテンを使用する

広い工場内は、ビニールカーテンで空間を仕切ることで冷却効果を上げられます。冷気は仕切られた空間の中に留まるため、広さのある工場全体を冷やすよりも、冷房設備の効果を発揮できます。ビニールカーテンは簡易的な間仕切りなので、設置費用を抑えられるのも特徴です。

大型扇風機を設置する

大型扇風機は、エアコンと併用することで工場内の冷気を工場全体に循環させます。大型扇風機のメリットとしては、稼働中に廃熱が発生しない、設置時のコストと使用時の電気代を抑えられる、といった点が挙げられます。

工場の暑さ対策でもらえる補助金

工場の暑さ対策においての設備投資に、補助金が適応される場合があります。以下は、導入コストを抑えるための利用可能な制度です。

・エイジフレンドリー補助金
60歳以上の高齢労働者を、1名以上雇用している中小企業に交付される補助金です。この補助金は、職場の環境改善を行うことが目的であり「身体機能の低下を補う設備の導入」という名目で助成金を受け取れます。

主に、熱中症リスクがある工場での休憩施設や、送風機を工場に設けることなどが整備事例として挙げられます。

・団体経由産業保健活動推進助成金
熱中症に限らず労働者の健康管理という観点で設けられている助成制度です。この制度は、中小企業などの産業保健活動の支援を目的としています。事業団体などが医師などと契約し、傘下である中小企業に産業保健サービスを提供した際、その費用の一部が助成されます。助成金は上限100万円であり、活動費の80%が支給されます。

まとめ

工場は構造上、暑くなりやすい建物です。工場での暑さ対策は、事故を防ぎ、従業員の生産性を保つための重要事項でしょう。

空調設備はもちろん、空調服や冷却タオルなどの対策をうつことで暑さによる熱中症を防げます。工場従業員が健全・快適に働けるよう、できるところから対策を進め、損失や事故のない環境を実現させましょう。




関連記事

工場の解体費用の相場とは?費用を安く抑える方法や解体の流れも含めて解説
工場や倉庫の天井にクレーンを設置する際の費用は?クレーン設置の注意点や種類もご紹介
工場や倉庫の天井にクレーンを設置する際の費用は?クレーン設置の注意点や種類もご紹介