工場や倉庫の天井にクレーンを設置する際の費用は?クレーン設置の注意点や種類もご紹介
工場や倉庫の天井にクレーンを設置する際の費用は?クレーン設置の注意点や種類もご紹介

工場や倉庫の運営において、クレーンの導入は業務の効率化につながるため、検討する企業も多いでしょう。この記事では、クレーン設置費用の内訳、設置前後の注意点について詳しく解説します。

工場や倉庫に天井クレーンを設置する費用

工場や倉庫に天井クレーンを設置する費用は、一般的に70万円から500万円程度です。
費用の内訳は、クレーン本体のほか、二次配線工事や試運転調整などの設置費用、設計および監督署認可手続きなどの事務費用が含まれます。

ここでは、天井クレーン設置費用と設置までの日数を詳しく解説します。

倉庫・工場の規模によって費用が変わる

クレーンの購入費は、クレーンの種類や規模によって異なります。一般的に、耐荷重や可動範囲が大きいほど、高額になります。また、二次配線工事や試運転調整などの設置費用も、クレーンの種類や規模によって変動するので注意しましょう。

設置までの納期

天井クレーン設置までには、建物とクレーンの準備に1〜3カ月程度の期間が必要です。

設置する建物の規模や環境によって納期は前後するため、設置前に自社で使用している工場・倉庫の規模を確認しておきましょう。

また、設置には届出が必要な書類や事務手続きがあるため、納期までに済ませておく必要があります。なお、これらの費用・納期はあくまでも目安であり、必ずしも紹介した日程で設置できるとは限りません。

天井クレーンを設置する際の注意点

工場や倉庫に新規で天井クレーンを設置する際、注意すべきポイントを解説します。

クレーン設置報告書を提出する

クレーン設置報告書とは、工場や倉庫などの現場でクレーンを設置する際に、事業者が管轄の労働基準監督署に提出する書類です。つり上げ荷重0.5t以上3t未満のクレーンについては、この書類の提出が義務付けられています。書式は厚生労働省のホームページからダウンロードできます。

クレーン設置報告書に記入する項目は以下のとおりです。

事業の種類
自社で行っている事業の種類を記入

事業の名称
自社で行っている事業の名称を記入

事業の所在地
自社で行っている事業の住所を記入

設置地
天井クレーンを設置する住所を記入

種類および形式
設置する天井クレーンの種類・形式を記入

つり上げ荷重
設置する天井クレーンがつり上げられる最大荷重を記入

設置予定年月日
天井クレーンの設置予定日を記入

製造者名
天井クレーンの製造会社を記入

製造年月日
天井クレーンの製造年月日を記入

報告者の情報
報告書の作成日や会社名を記入

労働基準監督署長名
労働基準監督署長の名前を記入

用途に適したクレーンを設置する

クレーンの設置は、用途に適したスペックのものを選ぶことが大切です。運ぶ資材の重量や大きさが選定の基準となります。

スペックが足りない場合、資材の墜落やクレーンの故障などの事故につながる恐れがあります。また、オーバースペックの場合、使用電力や定期点検などのコストがかかることもあるでしょう。

あらかじめ運ぶ資材の種類・重さ・大きさを明確にし、自社の業務に適したクレーンを選ぶことが大切です。

建物の条件を確認する

天井クレーンを設置する建物がクレーンの重量に耐えられるか、設置スペースを確保できるかを確認しましょう。

建物がクレーンの重量に耐えられない場合、倒壊や落下などの事故につながる恐れがあります。また、設置スペースの条件が満たせていないと、導入できるクレーンの形式が限定されてしまうため、設置予定場所の面積と高さをしっかり確認する必要があります。

設置する場所をしっかり観察し、クレーン設置に耐える構造であるかを確認しましょう。

クレーン設置までの流れを確認する

クレーンを設置してから稼働するまでの流れをしっかり確認し、社内全体に共有させて安全かつスムーズに進めましょう。

クレーン設置は大規模な工事となるため、最低でも1か月はかかり、大きさによっては3か月を越す工事となる場合があります。着工から稼働までに、前述の書類をそろえ、事務的な手続きを終わらせておくとよいでしょう。

また、クレーン設置工事中に建物内へ立ち入るのは危険です。社内全体にクレーン設置の旨を知らせ、共有することで安全に工事を進められます。それぞれの工程をしっかり把握し、タイトなスケジュールにならないよう注意が必要です。

クレーン設置後の注意点

クレーン設置が終わり、稼働してからも安全面に気を付けなければいけません。ここでは、クレーン設置後の注意点を4つ解説します。

安全確認をする

稼働時には、周囲に人がいないか、クレーン自体に不具合がないかを現場で確認しましょう。クレーンは建物自体に設置されることが多いため、事故を起こすと命を落とす危険性があります。

また、クレーンには定期点検・メンテナンスがありますが、稼働前の点検も規則で定められています。

運転者の免許を確認する

天井クレーンを操作するには、国家資格であるクレーン・デリック運転士免許が必要です。そのため、クレーンを運転する人材がいる場合は、免許を必ず確認しましょう。

クレーン・デリック運転士免許は、学科試験と実技試験に合格することで取得できます。免許には3種類あり、天井クレーンを操作するには「クレーン限定」または「床上運動式クレーン限定」の免許が必要です。

クレーンを運転する際には、操作ミスなどが重大な事故につながる恐れがあります。そのため、運転士は免許を所持していることを確認し、安全に作業を行うようにしましょう。

点検・整備を定期的に行う

天井クレーンは、定期的な自主点検を行わなければいけません。クレーンはロープ部分などが特に消耗しやすいので、事故防止のためにも定期的な自主点検が必要です。

  • クレーン等安全規則第34条により、クレーン設置後1年以内ごとに1回、自主点検を行わなければならない。
  • クレーン等安全規則第38条により、自主検査の結果を3年間保管しなければならない。

上記のように規則で定められた点検なので、必ず点検を行いましょう。

設置後も点検費用がかかる

天井クレーンの定期点検にかかる費用の目安は、吊り上げ荷重の階級によって異なります。

  • 5トン未満:16,500円
  • 5トンから10トン:22,200円
  • 10トンから20トン:30,100円
  • 20トンから50トン:40,800円
  • 50トンから100トン:55,500円

点検は、専門の業者に依頼するのが一般的です。業者を選ぶ際には、天井クレーンに関する安全教育を受けているかどうかを確認しましょう。安全教育を受けた業者であれば、メンテナンス計画をしっかりと組んで定期点検を実施してくれます。

また、休日や深夜などの時間外、年末年始の検査である場合、追加料金がかかる場合がありますので、事前に確認しておきましょう。

まとめ

この記事では、天井用クレーンの設置費用やメンテナンス費用、天井用クレーンを使用する際の安全確認などを解説しました。クレーンは極めて慎重な扱いが必要です。作業前の点検や定期的なメンテナンスは必ず行いましょう。




関連記事

工場が暑くなる理由とは?生産効率を上げる暑さ対策も詳しく解説
冷凍倉庫には耐用年数がある?冷凍倉庫のメリット・デメリットや倉庫の選び方も解説
冷凍倉庫には耐用年数がある?冷凍倉庫のメリット・デメリットや倉庫の選び方も解説